眠る眠る

夢の話。自分はとてもはしゃいでいる。目線が低いので、おそらく子供なんだろう。見晴らしのいい、大衆食堂に親戚できている。食堂からは海が見渡せ、天気はとてもよい。季節は夏なのかTシャツ、タンパン、ノースリーブなど薄着でにぎやかな親戚のみなさんは、毎年のように話している話題を繰り返している。落ち着きのない子供の僕は食堂から一人抜け出し、外へ出る。外へ出ると川があり、土手を駆け抜けた。土手に積み上げられた石は古く、石の間からは草が伸びている。川自体もススキが生い茂り、川に架けられた橋は木造で、かなりの年代もの。しかし、子供が一人飛び跳ねた位では、びくともしない。夕暮れで西日が降り注ぐ中、雑草を掻き分け、土手を駆け上がると、古い大学らしきコンクリートの建物があった。門はなく、入り口は開いているので、入ってみた。階段を上り、踊り場にある無造作に立て掛けられた油絵を見ていると、眼鏡をかけ口ヒゲを生やした男が階段の上の方から降りてきた。その男は、僕が小学校時代お世話になった、滝沢先生という美術の先生だった。この先生には、焼き物の授業で、宿題に持って帰った粘土を乾燥に注意しろという、注意事項を守らず、かぴかぴに乾かして提出期限ギリギリに謝り、新しい粘土を投げつけられ、怒られたことのある先生だ。その一件以来、母親によるとあの子はとても真面目だという評判を聞いていたので、黙って学校に入り絵を見ていても、怒られないだろうと思い、絵を見つづけていると滝沢先生は、眼鏡がずれる程顔をものすごい近づけ何も言わず階段を降りていった。