第2話

みなさんお待たせ昔話のお時間です。
さあ今晩のお話は、

昔むかし、あるところにおばあさんとおばちゃんが住んでいました。おばあさんはそれはそれは大きなお屋敷に住んでいてとても裕福な暮らしをしていました。おばちゃんはというと街を歩く人の顔についたご飯粒をとってあげるという仕事をして働いていました。ご飯粒というのは炊いたご飯のひと粒のことをいいます。
ある日おばあさんがお屋敷から外へ出ようとするととても大きな右足が目の前にありました。おばあさんが右足の爪に生えた毛を大木を切るように斧を叩き込むとはるか上空から「痛いじゃないか、君」という団塊の世代の男の声が聞こえました。おばあさんはとっさに斧を抜き「街へ行きたいのに右足が邪魔して出掛けられないの」と上空に聞こえる大きな声で言いました。それを聞いた団塊の世代は「その斧で右足を少し切り込み入れ、傷にカラシを塗るがよい。そうすれば私、団塊の世代は飛び上がる」といい助言をもらいました。
おばあさんはさっそく冷蔵庫を開けカラシ探しました。しかしタバスコしかめぼしいものはなく団塊の世代には違いはわからないだろうとタバスコを右足に多めに塗りました。
「カラシだよ」とおばあさんは上空の団塊の世代に嘘をつきました。「カラシだね」と団塊の世代は答えました。しかし右足はピクリともしません。「困ったわね」とおばあさんは、家に戻って冷蔵庫からハバネロを取り出し、大量に塗りました。再び、「カラシだよ」と叫びと「カラシだな」と返ってきました。しかし右足動きません。困ったおばあさんはポケットからカラシを取り出し、足元転がる小石も混ぜ右足に塗りました。小石とはちいさい石ということです。そうすると上空から「おひょおお!カラシ来たぁ!痛たたた。しみるしみる」と叫び声が聞こえ、とうとう右足は上がり、「これで街に行ける」とおばあさんが歩き出すと右足のカラシを拭おうとする左足が勢いよく地面に降りてきました。左足が地面に着くと、ドーンと隣り町まで響く大きな音がしました。 辺りは砂煙で前が見えなくなってしまいました。おばあさんのお屋敷は丈夫なのでびくともしませんでした。丈夫というのは大丈夫ということです。おばあさんはというと勢いよく左足が降りてきたときにスルリ
と抜け街へ向かっていたのです。わかりやすくするために解説など詳しくしていましたらおばあさんを見失ってしまいました。
おばちゃんは今日も飲食店の近くで顔にご飯粒を付けた人のご飯粒を取る仕事をしていました。お客さんが一人場合は仕事もスムーズで早く終わりました。大変なのは団体客です。バスに乗り込む前に全員のご飯粒を取ってあげないと旅先から付けて帰るのはおばちゃんにとって許せないことでした。団体客でごった返す忙しい日おばちゃんが両手で効率よく二人のご飯粒を取ろうとしたら一人のご飯粒は取れましたがもう一人なかなか取れませんでした。もう一人の顔ついているご飯粒をよく見てみると太い毛みたいなものが出ていました。おばちゃんはホクロかと納得して「すまんね。ホクロだったね」と声をかけると、「胚芽米だよ」と言われました。「わたしゃ白米だけだ」と言い残して、今日取った乾いたご飯粒をポケットの中でシャラシャラ言わせながら、団体客の間をすり抜けるようにして自宅へ向かいました。
このときおばあさんは巣鴨へ向かうべく団体客の一人として並んでいました。おばちゃんはおばあさんに一言、「胚芽米だったよ」というとおばあさんは「胚芽米だったね」と小さな声で言いました。おばあさんは「カラシだよ」と言うとおばちゃんはすかさず「カラシだよ」と二人はニコッと笑顔を見せ合いました。
おしまい